学校法人山脇学園
山脇学園中学校・高等学校
静かに先生の話を聞いて、板書をノートに写す。そんな授業は時代遅れかもしれない。机の上で学ぶだけでなく、実際に体験するからこそ、分かることがある。山脇学園ではドローンなどを使い、貢献心・挑戦心・自立心の3MINDを身につける、「探求の課外授業」にお邪魔し、担当の先生方にお話を伺った。
<校長 山﨑元男 (やまざきもとお)>
社会で生き生きと活躍する女性リーダーに
創立117年を誇る、伝統ある女子校、山脇学園。伝統を守りつつも、加速していく国際化に合わせて、さまざまな試みに取り組む山脇学園の山崎校長に、これから求められる学生像を伺った。
――学生時代からのお話をお聞かせください
中学、高校生時代はバスケ命の生活を送っていましたね。高校生のときには、バスケ部の部長を務め、関東大会にも出場しました。その当時から「世界がどのように成り立っているのか」という正解のない疑問を抱くようになり、東北大学の理学部物理系学科に進学しました。しかし、学生運動が盛んな時期だったので、ストライキで授業がなく、本を読み漁っていました。
そのようなときに、大学で学ぶ物理と自分の物理に対するイメージにズレを感じはじめ、親の反対を押し切って、3年次から早稲田大学の第二文学部に転入しました。その際、生活費と授業料は自分で稼ぐと決めていたので、溶接工場で働きました。工場長が中学生時代の恩師で、授業に間に合うように配慮してくださったのがありがたかったですね。その後、研究員になりたいという中学生のころからの夢をかなえるために、大学院に進学しました。卒業後は武蔵高等学校から古典の先生としてのオファーをいただき、修士終了後は国語教師として教壇に立っていました。そして33年間すごしたのち、今の学校で職を得ています。
――仕事のやりがいや大変な点をお教えください
今は山脇学園の校長をやらせていただいていますが、校長という役職は1600名の生徒の教育の責任者であり、1200名もの教員のまとめ役でもあります。学校という存在についての役割や同窓生についての責任といった、社会に対して責任のある仕事ですのでやりがいがあります。
直接生徒と関わる時間が多くないのは残念ですが、中学生の道徳の授業を受け持ったり、生徒会の先生と話したりすることで生徒の思いを感じ取るようにしています。また、新型コロナウイルス感染症によって、あらゆることがゼロから考えていく必要がありました。困難な状況の中で、これまでと同じではなく、新たな共生という考え方で進めていこうと思っています。
――これからの社会に求められる学生とは
上からの指示や指導を待っているのではなく、自主的に主体性を持って動ける人が求められていると思います。学ぶ力よりも「学ぼうとする力」が大事です。これが根底にないといけないですし、ここを伸ばしていってほしいです。また、山脇学園を卒業していく生徒には、社会で生き生きと活躍する女性リーダーになってほしいです。求められるリーダー像は昔とは変わってきています。今は、不得意分野をなくそうという時代ではなく、得意分野をもっと伸ばそうという時代だと思います。自分の得意分野で自信をもって活躍できる人になってほしいですね。
――中学生・高校生にメッセージを
今は自分探しの時期です。もちろん難しい年ごろではありますが、何もしないでいると自分は見つけられません。留学でも恋愛でも何でもいいので、何かしらを体験して、失敗して、感じて、「自分ってこういう人間なのだ」と自分を知っていってほしいですね。今は何度もチャレンジして、失敗することが許される期間です。たくさんのことにどんどんぶつかっていってください。
<入試広報部長 国際教育担当部長 鎗田謙一(やりたけんいち)>
世界で活躍する人間を育てるグローバル教育を重視!!
山脇学園では、机上だけでなく実際に体験できるプログラムやグローバルな学びに力を入れています。私自身はグローバル教育に関することを主に担当しているのですが、インドから留学生を迎えたり、英語と理系の融合といったことなどにも取り組んでいます。
たとえば、課外プログラムであれば、最初は日本語で行ったとしても、最終的には生徒が日本の人だけでなく、世界の人に英語でプレゼンテーションをして物事を発信していく機会なども作っていきたいと思っています。
世の中と結びつく教育を
このような教育ができるのは、それを良しと判断し、プログラムをやらせてくれる校長先生がいてこそなのですが、生徒がイベントを喜んだり楽しんだりして、笑顔を見せてくれることにやりがいを覚えます。中学生、高校生のみんなには、世の中と実際に結びつくような、さまざまなことを学びながら、自分の夢を膨らませていって欲しいです。
<探究主任・校外学習実習主任 大島悠希(おおしまゆうき)>
私は探究活動の主任として、総合学習の企画などを担当しています。生徒のやりたいものを見出すきっかけをつくりたいと思い、学校の授業でできないようなことにチャレンジするようなプログラムを企画しています。
私自身、社会人になってから大学に入り直して教師になったものですから、社会人としての経験を生かしていく中で、女性の社会進出の手助けや女性が踏ん張って何かを得ようとする場面に携わる仕事をしたいと思うようになりました。男性目線で凝り固まった社会を女性目線で改革していって欲しいと思っていますし、そんな改革の一端に関わることができたら良いなと考えています。
1回しかできない授業がしたい
今の時代、YouTubeなどの動画サイトで、いくらでも質のいい授業を受けることができます。時間と場所に拘束されず、好きなときに何回でも見られる。しかも多くは無料です。そんな中で、たった1回しかできない授業で、生徒がそこにみんなと一緒にいるからこそできる授業をしたいですね。そうでないと学校に来る意味がないと思っています。ただ板書を写して覚えてっていうだけの授業は無駄だと思っていて、議論する時間をたくさん取ったり、グループワークをすることがとても大切です。また、先生は授業がうまくなりすぎてしまい、生徒が待ちの姿勢なっている。それでは良くないと思うんです。整いすぎた、うまい授業をするのではなく、生徒が自ら学べる環境を作り出せるような授業ができればと思っています。
やりたいことを見つけるために挑戦する
正直、偏差値というのは重要ではありません。大学に何度も入って知識を更新していくのが当たり前になる時代になっていくと思います。そんな中で重要なのはやりたいことを見つけることです。やりたいことに出会うと人生が豊かになります。最初はやりたいことが何なのかが分からないと思うので、いろいろなことに挑戦していって欲しいですね。
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